銃士隊の制服デザイン

銃士隊の制服のことなのですが、正直に申し上げて、私は銃士隊の制服というものは、映画の中でしか知りません。チャーリー・シーンの出演してた三銃士や、もっと前のイギリス映画の三銃士とその続編の四銃士、そして、仮面の男などです。これらの映画の銃士たちの制服を見ると、制服の配色はみんな黒いようですが、映画の衣装係のせいでしょうか、微妙なデザインが結構違うように感じます。ちなみに小説ダルタニヤン物語で、ダルタニヤンが財務卿フーケを捕らえるシーンでは、ダルタニヤンの制服の色は赤だったと思います。仮面の男では、アトス達の制服は黒でしたが、若い現役の銃士達の制服は青と赤のツートンでしたね。はたして、どの映画に出てきた制服が、最も本物に近いのでしょうか?王宮に勤務した年代によっても制服のデザインは違ったのでしょうか?本物の銃士隊の制服や装備について、なにかご存じでしたら教えていただけますか?どうぞよろしくお願いいたします。<1998.10.19 質問/ホームページ読者>

 

史実の銃士隊は、編成の年代によって三種類に分かれています。まずは、1622年にルイ13世がそれまでの軽騎兵隊にマスケット銃を与えることによって国王直属の部隊として編成した初代の銃士隊。この部隊は、ラ・ロシェルなどの戦場で勇敢に戦い、数々の武勲を立てましたが、ひとたび平和が訪れると決闘や喧嘩、殺人などの不祥事が相次いだため、遂にはマザランによって1646年に廃止されました。

その後、若きルイ14世が政権を握った後の1657年に復活。続いて1663年に第二部隊が編成されました。この二つの部隊は、騎乗する馬の毛並を統一させ、「第一銃士隊(灰色銃士隊)」「第二銃士隊(黒馬銃士隊)」と呼ばれていました。このうち、別名「大銃士隊」と呼ばれていた第一銃士隊については、「上祭服のような形で、銀の十字架のついた空色のマントと縁がそり返り白い羽飾りをつけた帽子」という装いだったと、資料に記述が見られます。

それ以外の部隊については、当方に手持ちの資料が無いため、史実として文献に記載されているのかどうかは不明です。当時のフルカラー画像資料である肖像画等のファインアートにも、銃士の制服をまとった人物というのが見当たりません。(肖像画の残るような上流貴族は銃士になる必要がなかったためかと察します。)そこで、以下は当方の推察ですが、映画衣装や本の挿絵に描かれる銃士の制服は、この「大銃士隊」の制服をもとにして、それぞれデザインのディティールを創作して出来上がったものではないかと考えます。私の知る限り、各作品における基本のカラーは、この空色をもとにしたものが多いようです。

<回答/19 いせざきるい>

参考文献/「カラー版世界の文豪叢書・デュマ」(奥田武二/訳、評論社/刊)
ずいぶん昔にイタリアで発行されたものの翻訳版です。三銃士の作品および歴史背景について詳細な記述のあるお役立ち資料ですが、セットもので分売不可の上に在庫も期待薄だと思いますので、ある程度歴史と規模のある公共図書館または、文学部や外国語学部のある大学図書館でお探しいただくことをお勧めします。

<三銃士ファンクラブ銃士倶楽部>

FAQインデックスへ