銃士の合言葉の語源と語順

三銃士の合言葉「みんなはひとりのために、ひとりはみんなのために」は、ラグビーでも有名ですが語源はどこなのでしょう?
また語順は「みんな」が先なのでしょうか?

銃士倶楽部内でも何度か話題になったので、過去の会誌の記事から整理してみました。
まず「三銃士」作品内で合言葉が出てくるのは、ダルタニャン物語1巻9章の最後、いよいよ宮廷の陰謀に首を突っ込もうとするダルタニャンが三銃士たちと皆で協力しようと提案したシーン。

「では、諸君。四人はつねに一体となって協力する(Tous pour un, un pour tous)―――これをわれわれの標語にしようではないか」
(中略)四人の親友はダルタニャンの提唱した標語を声をそろえてくり返した。
―――四人はつねに一体となって協力する。<鈴木力衛/訳>
*同じ場所が、竹村猛・訳「四人は一つ、切っても切れぬ」、生島遼一・訳「四人一体」、朝倉剛・訳「四人の心は一つ」と訳されています

「三銃士」の初回新聞連載開始は1844年
オクスフォードの引用語句辞典によると、デュマの三銃士が語源
ドイツの農村信用組合(1862年)の創設者F・Wラファイゼンが説いた言葉に「each for all, all for each」がある
ラグビー発祥はラグビー校伝説で1823年、フランスに上陸したのは1872年
ラグビー精神の語源は、A・マーネス(1877〜1963)の相互扶助原理について書かれた「入用充足説」から、という説もある

ラグビー精神がいつ頃から使われ始めたのか定かではないが、今のところデュマの三銃士がオリジナルであるという説が有力。
デュマがどこかで聞き及んだ言葉を大々的に広めたという可能性も大きい。

なお巷での標語の語順は「one」が先の場合と「all」が先の場合があるが、三銃士の原書では「all」が先となっています。

<回答/19 いせざきるい>

<三銃士ファンクラブ銃士倶楽部>

FAQインデックスへ