三銃士映画の歴史


「三銃士」は、活劇映画の定番。サイレント映画時代にアメリカで4回(1911、1913、1914、1916年)、フランスで2回(1903、1922年)、イタリアで1回つくられているが、この時期の一番の傑作は、ダグラス・フェアバンクス演じる1921年のアメリカ映画である。
トーキー映画の時代になると、有名な3作品(1935年RKO版、1948年ジーン・ケリー版、1973年レスター版)の他にも、幾つかの作品があり、後日談などのパロディを含めると相当な回数で映画化されている。

<1998.5.11 文/No.19いせざきるい>


The Three Musketeers (1921)

ダグラス・フェアバンクスがダルタニャンを演じた、無声映画時代の傑作。アメリカ映画。日本公開は大正10年。アラン・ドワン監督。ストーリーは、ダルタニャンがパリに出てきてから、王妃のダイヤモンド事件まで。サイレント映画ならではのオーバーなアクションで、文句なく楽しい冒険活劇になっている。 映画の感想へ

ビデオ I・V・C/製品番号不明/全2巻各65分\3,800(1994年発売当時のデータです。)

The Three Musketeers (1935)

新人のWalter Abelが無名の田舎青年らしいダルタニャンを演じた。平和を願う王妃と彼女の銃士という視点で描かれた作品で、決闘シーンやユーモアは、フェアバンクス版ほど目立たなかった。最後のクライマックスは、ダルタニャンを捕らえたミレディーの馬車とそれを追いかける三銃士のチェイス・アクションだった。

The Three Musketeers (1948)

ミュージカル俳優のジーン・ケリーが、ダンスのように軽やかな動きを見せるダルタニャンを演じた。ハリウッド全盛時代の陽気でゴージャスな作品。MGM製作のアメリカ映画。王妃のダイヤモンド事件を経て、バッキンガム公爵の暗殺、コンスタンスの死、ミレディの処刑まで、原作に忠実なストーリー展開。よい演技を見せていたメインの男優さんたちが原作の設定ほど若くなかったのだけが、欠点。

その他の三銃士映画

1922年にはThe Three Must-Get-Thereなる人気パロディーが製作された。フェアバンクス版によく似ていたという。

1939年に20世紀FOXが製作した作品は、「新・唄う三銃士」の別名を持つ。作品の出来は良く、ダルタニャンが歌って踊る場面はフェアバンクス版に匹敵する見せ場だったが、出演した俳優のトラブルで、多くの役者が中途で降りてしまうという汚点を残した。

三銃士パロディ映画の傑作は、Sons of the Musketeers(1952年アメリカ作品。アメリカでは「At Sword's Point」、邦題「快傑ダルタニャン」)。リシュリュー亡きあとのフランス内乱の中、王妃に招集された勇者四銃士の息子たちは、陰謀に巻き込まれんとする王女を助けて大活躍する。それぞれ父親譲りの性格だが、アトスの子供が娘で男装して加わるというのが面白い。日本でも度々テレビ放映されている。

参考文献:Richards, Jeffrey , Swordsmen of the Screen, London, 1977, Routledge&Kegan Paul Ltd, ISBN0-7100-8478-1 ほか


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