現在入手可能な日本で唯一の完訳「ダルタニャン物語」(講談社文庫版)をもとにストーリーを紹介します。
パリにやってきたダルタニャンは、無双の剣士ポルトス、アラミス、アトスの三銃士と友情の契りを結ぶ。一方、下宿先のお内儀ボナシュー夫人へ想いを寄せたことから、英仏が関わる宮廷の陰謀に巻きこまれ、三銃士とともに王妃の危機を救う旅に出る。
王妃の危機を救ったダルタニャンは、枢機卿と謎の美女ミレディーを敵に回すことになった。ミレディーは、ダルタニャンの命を狙うとともに、英国の宰相、バッキンガム公爵の暗殺を謀る。ラ・ロシェルの戦地から離れることができないダルタニャンたちは、ある作戦を思い付くが…。「三銃士」第一部の完結編。
あれから二十年後のパリ。ダルタニャンは、銃士隊副隊長になり、三銃士は銃士隊を退いてそれぞれの生活を送っていた。そこへ起こったのが、宰相マザランと貴族たちとの争いであるフロンドの乱。四人の銃士も立場上、敵味方に分かれて、互いに闘う運命となってしまう。
民衆の蜂起に騒然としたパリからアンヌ太后らを救出したダルタニャンは、密命を受けて渡ったイギリスでアトスらと奇しくも敵どうしで再会する。ところが、そこには四人を付け狙う不気味な修道僧姿の男がいた。
英国王を救うため、清教徒革命に揺れるロンドンで再び力を合わせる四人の前に立ちはだかったのは、復讐に燃えるミレディーの息子モードントだった。そして、フランスに帰ったダルタニャンを待っていたのは、マザラン枢機卿による逮捕命令だった。第二部「二十年後」のクライマックス。
十年後。英国王の息子チャールズ二世は、フランスに亡命し王位復帰の望みを繋いでいた。ダルタニャンとアトスは、悲運の英国王を助けるためにそれぞれ渡英し、再会することになる。
マザラン枢機卿亡き後、いよいよ華やかな国王ルイ14世の治世が始まった。銃士隊長として軍務に復帰したダルタニャンは、財務卿フーケの陰謀を探索中、アラミスとポルトスに再会する。一方、宮廷内は、国王を中心とした青年貴族たちの青春が幕を開ける。
美貌の王弟妃をめぐる宮廷内の混乱は、国王までも巻き込むことになる。そして、二人の恋の隠れ蓑として選ばれたのは、アトスの息子、ブラジュロンヌ子爵の想い人であるルイズだった。
国王のルイズへの求愛は、誰もが予想しなかったことだった。身分の違いに悩むルイズをよそに、宮廷内では、野心と陰謀が渦巻いて複雑な人間模様を展開。一方、アラミスはイエズス会の新管区長となり、何やら企んでいる様子。
ルイズが国王の愛を受け入れたことを知ったブラジュロンヌ子爵は、傷心のまま宮廷を去る。アラミスは、ヴォーの園遊会で遂に陰謀を実行。バスチーユに幽閉されていた国王の双生児フィリップ王子とルイ14世をすり替えてしまう。
国王のすり替えは失敗。フィリップ王子は、鉄の仮面を被ったまま孤島に幽閉の身となる。失意のブラジュロンヌ子爵はアラビア遠征へ。ダルタニャンは、叛逆者となったアラミスとポルトスを追いベル・イールへ向かう。四人の銃士たちの晩年を描ききった、第三部「ブラジュロンヌ子爵」完結編。
原作者 |
アレクサンドル・デュマ(1802-1870) |
原題 |
Les trois mousquetaires (1〜2巻) |
初出 |
1844年3月14日〜7月14日に新聞「ル・シエークル」連載(1〜2巻) |
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