GDCセミナー、レポート
7月15日、磐田市で行われた GDC(Genetic Disease Control in Animals : ジェネッティック
ディジーズ コントロール イン アニマル)について、来日されたGDCのエグゼクティブ・ディレク
ター Dr Poulos氏によるセミナーに参加してきましたのでレポートします。
GDCとは?
1990年に、獣医、科学者、犬の繁殖者、所有者を含むグループが、国際肘ワーキンググループ
(I.E.W.G)と共に、犬の整形法の遺伝疾病のコントロールのために設立した非営利的な研究所
です。データーは、国内および国際的に初めて管理されたアクセスのオープン・レジストリー方
式で登録されています。( at US, California)
セミナー所感
オープン・レジストリーであるということ。まさにそれが、GDCの核心部であり、今現在、繁殖を
考えている人、子犬が欲しいと思う人にとって、利用価値の高いデータベースであると思います。
GDCに先んじて、犬種クラブ主導(ケネルクラブ主導だったかも?)でオープン・レジストリー
方式による登録を義務付けている(確かそうだったと思うのですが、どなたか詳しい方フォロー
してくださると助かります^^;)、スウェーデンにおいては、近年大幅にCHD等の発生が減っている
そうです。
その内容は、日本の現状からは想像もできないようなものです。なぜなら、素晴らしい、
それこそ、FCIのワールドチャンピオンになれるような犬であったとしても、ブリーディング
結果が思わしくなければ(生まれた子犬たちは全て検査、登録され、その結果は良い結果も、
悪い結果もすべて公開される)、以後の交配はストップされるのです。
ある一定の頭数を繁殖した時点で、その子犬達の検査結果があがってくるのを一旦待ち、その
結果をみて、以後の交配が許されるそうです。しかもその後も際限なく繁殖できるのではなく、
80頭の子犬を作出した時点、もしくは年齢制限でストップがかかるのだそうです。メスに
ついても4胎までしか交配を許さない、など、とても厳しい制限、管理のもとで行われており、
そこには「その犬種を向上させ、命に敬意を払う」という、大変厳しい決意が流れているように
思います。
さて、GDCは?というと、、こちらは診断、判定、そして登録を行う機関であり、公開されて
いるデータを、「どう扱うのか?」については、ブリーダー、オーナー、子犬を求める人の判断
(Dr Poulos 氏は "良心" とおっしゃいましたが^^;)にゆだねられているそうです。
それゆえ、USのブリーダーの中には、堅い意志(遺伝病の削減に対して)を持って、子犬譲渡
の際に細かい契約事項を盛り込み、その内容に同意できる人にのみ子犬を譲るという姿勢を
通していらっしゃる方も多いようです。
セミナーを聴講し、まず思ったことは、おそらくブリーディングの際、遺伝病のリスクを減らす
という視点で考えれば、オープン・レジストりーのデータを活用すること、そして当然、その
データ数を充実させること。それが現在、私たちにでき得る最善の方法であろうということです。
いえ、「それしかない」と言っても過言ではないと、私は思います。
ただ、悲しいかなUSにおいても、義務付けではありませんし、ましてやこの日本では、、、
上記のスウェーデンがとっているような方針を各国が採用すれば、その効果は絶大でしょうが、
たとえ、そこまでいけないとしても、一胎の子犬を全て検査・登録し、その結果を公開する
というシステムをとるブリーダーが増えてくれたら、どんなに素晴らしいでしょう。
もしくは、悪い結果を勇気をもって公開する。それだけでも、流れは変わるのではないかと
思います。
あらためて、ネットの友人たちがはじめた、彼らの愛犬の「思わしくない結果」について
「検査結果の公開」という勇気ある試みに、私は敬意をはらいたいと思います。
さて、資料の中にありますが、マタドール(笑)といわれる犬たち、つまり大抵はショーや
フィールドのチャンピオン犬で交配に多用されるオス犬のことですが、私は個人的にはこの
点がとても気になりました。実際、こういった犬たちが何らかの遺伝病のキャリアであった
としたら、それこそアッという間に、多くのキャリア犬をこの世に出してしまうからです。
特に文中にもありますが、犬の数が少ない時点では、交配はその限られた犬に集中し、その
結果キャリア犬でのラインブリード、もっと言えば、インブリードすら行われるかもしれない
のです。ボーダーも初期の頃は、日本でも実際にそのようなことが行われています。
ですから、今後、日本に希少な犬種の輸入→繁殖をお考えの方は、その個体のみの検査結果
に判断の基準を設けず、特に兄弟姉妹、そして、その犬の今までの繁殖実績等をぜひ調査して
いただきたいと思います。兄弟姉妹、半兄弟姉妹あるいは、作出した子犬の中に股関節形成不
全の犬が出ていれば、あなたが輸入しようとしているその素晴らしい犬は、病気のキャリアである
確立が非常に高いのです。
GDCにおいては、今のところは、ラブラドール、ゴールデン、バーニーズ、そしてオーストラリアン・
シェパードなどの登録が多いそうです。これはどうも、その各ブリードクラブの意識の強さが反映
しているようです。これらの犬種で輸入・繁殖を考えている方にとっては、GDCのオープン・レジ
ストリーは利用価値が高いかもしれません。
そして、もう一つ特筆すべきは、GDCの外科検査の登録は1歳からできるという点です。
グレートデンなど超大型犬種の診断は18ヶ月くらいが良いそうですが、GDCでは何年も経験を
積み重ね、獣医師は診断のためのより良い研修を積んでいて、設備も充実しており、その診断の
正確さについては自信を持っておられるようです。(その診断基準はOFAより厳しいと言われてい
ます。)
ボーダーはCLとの絡みもあるので、何とも言えないのですが、1歳で検査ができるのであれば、
「将来繁殖を」という期待のもと、避妊手術を施さないでおいた個体も、結果次第では乳腺腫瘍等
の発生を低く抑えることのできる時期に、手術にふみきることもできるわけですから、これはブリー
ダーにとってもありがたいことだと言えるのではないでしょうか? もちろん一般のオーナーにとって
も、ドッグスポーツ等を本格的に始める前に、犬の身体の実態を知ることができるというメリットが
あります。
最後に、遺伝病をなくすことは、不可能なことかもしれません。けれど、私たちの意志と管理の
もとで交配・繁殖される"犬"たちにおいては、私たちの努力次第で減らすことができるのです。
このセミナーに参加して、あらためてそのことを、考える機会を持つことができました。
セミナーを開いてくださった関係者の方々と、Dr Poulos 氏に感謝いたします。
2001年 7月20日
次貢:セミナー資料