コリー眼異常(CEA : Collie Eye Anomaly)

<概要>

コリー、シェルティー、ボーダーコリー、オーストラリアンシェパード種等に
みられる特異な眼疾患で、網脈絡膜形成不全、コロボーマ、視神経乳頭におけ
る欠陥の異常増生、網膜剥離、眼内出血など、眼底にみられる複合的眼異常を
総称したものです。

< 遺伝の様相>

単純劣性遺伝形式をとる代表的な犬の遺伝的眼疾患です。
注 : CLのページ参照

<眼所見>

Grade T〜Xに区分されます。

Grade T : 網膜および視神経乳頭内血管の蛇行
Grade U : 網脈絡膜の形成不全(CH)
Grade V : コロボーマの形成
Grade W : 網膜剥離
Grade X : 眼内出血(硝子体内出血、前房出血)

*現在では、Tの「網膜および視神経乳頭内血管の蛇行」については、CEAとは
みなさいという見解があり、グレードはU〜Xまでの4段階という考えが主流のよう
です。

Gradeと視力の関係は、GradeT、Uは正常(視力障害にはならない)、V〜Xで
視力障害をきたします。

参考・・・ チクサン出版 「CAP/FEBRUARY 1995」


<繁殖>

視力障害を起こさないGradeT、およびUのレベルの犬であっても、眼底検査に
おいて、異常が認められる犬は繁殖に使わない。
また、同胎兄弟姉妹に発症した犬がいる場合、その犬自身が発症していなくても、
75%の確率でキャリアであることを認識する。

生後5〜7週目の一胎の子犬全てを眼検査することが望ましい。
(CERF ニュースレターを参照)

*NDAテストが利用可能である。

Optigen (USA)

genetic technologies (豪)

KAHOTECHNO(日本) 他数社



Collie Eye Anomaly
Julie Gionfriddo DVM, MS, DACVO
ACVO Genetics Committee/CERF Liaison
CERF NEWS August 2000 より(翻訳転載許可済み)


コリー眼異常(CEA)は、眼の先天的かつ発展的な欠陥です。疾患はラフおよび
スムースコリー、シェトランドシープドッグ、オーストラリアンシェパード、
およびボーダーコリーで報告されました。それは1953年にアメリカのMagrane
氏によって記述され、コリー種において非常に広範囲に診られました。
1991年から1999年の10年の期間に、19,592頭のコリーが眼科医によってCERF
に報告され、これらのうち15,000頭(77%)に関してはCEAの何らかの形式を
持っていました。発生率は他の影響を受けた犬種よりは低いものでした。

コリーアイは眼の中胚葉(中央の層)組織の異常な発達によるものです。
これは強膜、脈絡膜、視神経乳頭、網膜および網膜血管の欠陥によって生じ
ます。これらの異常は無分別にむすびつき非常に広範囲になりえます。また
それとは相対的に小さくもなり、視力障害を引き起こさないこともあります。

CEAの一般的な形式は脈絡膜の発育(形成)不全(CH)です。これは眼の後部
の脈絡膜か脈管系の欠陥です。それは視神経乳頭の側のノンタペタム(色素
の無い)エリアの眼検査でみることができます。CHは視力の問題を引き起こし
ませんが、その影響を受けた犬がCEAの遺伝子を運ぶことを示しています。
CHは両眼の疾患です。しかし、一方の眼は他方よりひどく影響されるかもしれ
ません。含まれるエリアは、通常視神経の上か側にあります。CHの病変は生後
5〜7週目の頃に診ることができますが、その後の犬の成長にともない、眼の
後部のタペタムの発達によってマスクされることがあります。これらのケース
は "go-normal" と呼ばれます。子犬が若い頃に診察することが重要なのはこの
ような場合があるからです。たとえこれらの犬が成犬時に、正常に見えるかも
しれないとしても、その犬たちは依然コリーアイの遺伝子を持っています。
CHはより悪くはなりません。また、その他のタイプのCEAに進みません。

CEAのより厳しいケースでは通常コロボーマ(欠損)を持っています。CEAでは
コロボーマが眼の後部の窪みや陥没、そして視神経乳頭およびその周囲の
エリアを含んでいるかもしれません。コロボーマは生後5〜7週の早い時期に
眼科医によって診断されているかもしれません。コロボーマは一つのあるいは
両方の目に生じるかもしれないし、非常に小さい、あるいは浅いかもしれませ
ん。また非常に大きいかもしれないし、深いかもしれません。

部分的な網膜剥離あるいは全網膜剥離はCEAのいくつかのケースではみられる
でしょう。これらは一方の眼に起こるかもしれないし、両方の眼に起こるかも
しれません。また通常若い犬で発症し、完全な盲目を引き起こすかもしれませ
ん。眼の後部の大きな「ホール(欠損孔)」が網膜の後ろの流動体の蓄積に
結びつき、網膜から押すので、大きな視神経乳頭コロボーマは網膜剥離を引き
起こします。眼の後部の出血は、さらにCEAを引き起こすことがあり、
コロボーマと網膜剥離に二次的に生じると思われます。

CEAは既知の遺伝性疾患で、常染色体の劣性遺伝子によると考えられています。
コリーアイを引き起こす遺伝子のサイトは現在調査されています。
その遺伝的な性質のために、CERFの方針はCEA(どんな程度でも)を発症して
いる、いかなる犬も繁殖しない。また発症犬がCERF番号を受け取らないように、
進めることです。私たちは今後、遺伝子検査で発症した動物およびキャリアー
動物を検地することが可能になり、それがこの疾患の発生率を縮小すること
の支援になることを望みます


下線部 : 確認中

*CERF(Canine Eye Registration Foundation )
犬の眼疾患に関する登録を行っているアメリカの機関。
A.C.V.O.(the American College of Veterinary Ophthalmologists),の資格を有する
獣医師による検査の記録が保管され、また検査を通った犬に証明書を発行して
います。



<所感>

CEAは現在世界的な規模で淘汰が叫ばれている代表的な眼疾患です。BCCNSW
やISDS等、犬の登録に際し検査証明書の提出を求めるクラブや団体も増えている
ようです。しかし、日本では、けして一般的な検査ではありません。
NSWのコミッティーの方からは、「日本においても早急に、子犬の検査を実施する
ことを強く勧めます」というコメントをもらっています。

CEAがやっかいなのは、成長すると表面的には正常になってしまうことがあるから
です(CERF NEWS 文中の"go-normal" の問題)。しかし、それでもその犬が遺伝子
のキャリアであることには変わりなく、その犬が成犬になった時のみ検査を受け、
その検査でノーマルと診断されれば、繁殖に供される危険があるということです。

一番の問題は獣医眼科医の問題でしょう。しかし、現在では獣医眼科に詳しい、
先生も増えているようです。かかりつけの獣医の先生の紹介、大学病院、
インターネット、アイチェック会を実施している犬種クラブ等にコンタクトをとる、、、
などなど、その気になれば方法はあると思います。

また、オーストラリアからボーダーコリーを輸入する場合、NSWでは一胎の子犬の
検査が登録の際の義務になっていますから、ぜひその犬自身はもちろん、
同胎兄弟姉妹、また子孫の検査結果を尋ねることをお勧めします。
ちなみに、我が家のHeathは、U.S.にて生後6週で検査を受けており、証明書
もいただいています。同胎全てノーマル(発症はしていない)でした。

CEAは、そのほとんどのタイプで視力は残るそうです。コロボーマがあっても、
さらには網膜剥離を起こした場合でも、犬はボール投げができるくらい見えて
いることがあるそうです。たとえ発症していてもその犬自身のQOL(Quality
of Life : 生活の質)は保たれる場合が多いと考えられます。

<参照サイト>


CERF http://www.vet.purdue.edu/~yshen/cerf.html

2001年11月20日